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『君の名は。』2回目感想 あるいは『君の名は。 Another Side:Earthbound』

映画 小説 TSF

 タイトルの通り、『君の名は。』、2回目見てきました。自分でもびっくりしたんだけど、1回目よりも数倍楽しめました。

 以下、2回目鑑賞して思ったことと、2回目を見るにあたって事前勉強で読んだ外伝小説の感想について、簡単に書いていきたいと思います。

 ネタバレあるので未見&未読の方は注意。

 ちなみに初見時の感想はこちら↓

 

minami10zi.hatenablog.com

 

 

 冒頭にも書いたとおり、2回目の鑑賞は1回目より数倍楽しめた。

 1回目はちょっと身構えすぎていたというか、期待しすぎていたのかもしれない。

 1回目の感想に書いたとおり、『君の名は。』に対して僕が不満に思っている点は、「ドキドキTSライフ描写少なすぎ問題」と「お父さんになんて言ったのか問題」の二つが主なのだけれど、2回目はこの点がほとんど引っかからなくて、素直に鑑賞できた。

 二つの問題は、どちらも梯子を外されたことに対する不満だから、最初からそうなるとわかって見る分には、あんまり気にならなかったんだと思う。

 特に「お父さんになんて言ったか問題」は、180度くらい違う印象を受けた。理屈の上では、どう考えてもお父さんの説得の様子を描くべきだと思うのだけれど、しかし改めて見返してみると、「別にお父さん説得するシーン見せられても面白くねえな」という印象のほうが強かった。

 三葉ちゃんの成長については、「田舎暮らしに不満を持ちながら、家族(父や祖母)と向き合おうとしなかった少女」であった三葉ちゃんが、「お父さんになんかすごい顔で立ち向かっていく」というだけで、もう十分に表現できていたから、別にお父さんへの説得方法が必ずしも描かれていなくても、そこまで問題ではないかな、と。

 初見の時は、三葉ちゃんがあそこまですごい顔しているとは思えなかったんです。はい。

 

 『君の名は。』のストーリーは、僕の大雑把な分析によると、

「①ドキドキTSラブコメ

「②男が死んだ恋人をあの世に迎えに行く、オルフェウス神話というかイザナギイザナミ神話的な物語」

「③田舎という土地に束縛された少女が、少年との出会いによって成長し、その束縛から解放される物語」

「④恋人たちは魂で結びついていますよ的なスピリチュアルな話」

 という4つの要素によって構成されていて、それぞれが互いに絡み合いながら進んでいる。

 そして、尺の問題もあるのだろうが、上に挙げた要素それぞれを十全に描ききってはいない。そのせいで、初見時は、中途半端な話になってしまっているように感じた。「お父さんになんて言ったか問題」が気になったのも、要は③が描ききれていなかったことが問題であると感じたからだと思う。

 しかし、2回目の鑑賞時は、たしかに中途半端な話ではあると思うのだけれど、それ以上に、このごちゃまぜ感が楽しいのだと感じた。

 1回目の感想でがっかりポイントにあげたダイジェスト演出も、ごちゃまぜ感をテンポよく、違和感なく見せるためには、かなり効果的な機能を果たしていて、そこまで悪いものではないなと思えた。

 なにはともあれ、2回目の鑑賞、めちゃくちゃ面白かった。『君の名は。』に対する個人的評価が「かなりいい映画」から「凄く好きな映画」くらいにまで上がったかもしれない。

 ……それでもやっぱり、ドキドキTSライフについてはもっと丁寧に描いて欲しかったけれど。

 

 

 

  それから、2回目の鑑賞にあたって読んだ、いくつかの資料についての話。

 

 まず小説版については、ほとんど映画版と内容が同じなので、問題に感じる場所も、いいと思える箇所もだいたい同じだった。

 なので、あんまり語ることがない。

 

 

  次に、外伝小説『君の名は。 Another Side:Earthbound』について。

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

  主人公の一人・三葉の周辺人物たちを主役にした短編4篇を収録した短編集。

 

 『ブラジャーに関する一考察』は非常にまっとうなTSFであり、これは文句無しによかった。ただ、正直な所、本編でやって欲しかった感はどうしてもある。

 

 『スクラップ・アンド・ビルド』と『アースバウンド』については、映画を見て想像できる「このキャラはきっとこういうことを考えているんだろうな」「このキャラはこういうキャラなのだろうな」ということを、より詳細に解説してくれるような話。そこまで意外性のある話はないが、手堅い作りで、楽しく読めた。

 

 で、問題は『あなたが結んだもの』。

 『あなたが結んだもの』については、三葉ちゃんの父親の来歴について書かれた短編なので、2回目の映画鑑賞をする前の僕が期待したのは、当然「お父さんになんて言ったか問題」の解決だったわけである。

 しかし、『あなたが結んだもの』に書かれているのは、お父さんの方が勝手に三葉ちゃんのことを受け入れる体制を整えてしまう、という話だった。

 初見時の感想で書いたとおり、僕はラストの説得については、三葉ちゃんの成長とか真剣さみたいなものによって成立して欲しいと思っていて、父親側がいくら説得を受けいれる理由があったとしても、意味が無いと思っていた。むしろ父親の方に説得を受け入れる用意が出来ていればいるほど、三葉ちゃんの物語が残念なものになるような気がしたのである。

 だから、はっきり言って、この『あなたが結んだもの』については、感心しなかった。

 もっとも、2回目の映画鑑賞を終えて、「お父さんになんて言ったか問題」があんまり気にならなくなった今、もう一度読みなおしたら、まったく違う印象を抱く可能性はある。

 抱く可能性はあるけれど、もう一度読みたいかと言われると…うーんって感じ。

 これを言ってしまうと身も蓋もないのだけれど、そもそも僕がお父さんのキャラクターそれ自体にあんまり興味が無いので、「お父さんになんて言ったか問題」を棚上げするとなると、この短編にあんまり食指が動かなくなってしまうのだと思う。

 

 上記の通り、『あなたが結んだもの』については、いろいろ思うところがあるけれど、それ以外の短編についてはなかなか良かったのではないでしょうか、というのが全体的なおおまかな感想です。はい。